BANDWAGON
バンドワゴン
Bandowagon
第一章『小春』
シンガーソングライターの小春(19)。上京後間も無くして新型コロナウィルスが蔓延。当然、小春の音楽活動も影響を受け、ライブの中止や、収入源である路上ライブも規制される。「今」に抗えず、堕ちていく一方の小春であったが、SNSに投稿していたオリジナル曲が評価され始め、将来に希望が見えるようになっていく。しかし、それは1つのコメント投稿によって束の間の喜びに変わり、小春のSNSは炎上する。その炎は収まりを知らず、小春の叫びすらも掻き消すほどとなる。
第二章『悠生』
映像作家の悠生(29)。だが、それで生活ができている訳でもなく、配達業で生計を立てているのが現状。しかし、その配達業も順調とはいかず、悠生は殻に籠もっていく。そんな時に1通の便りが届く。それは、ある映画祭で自身の作品が受賞したという通知。悠生は、このチャンスを活かそうと、次作の執筆を始める。そんな時、SNS上に執筆中の作品と同じタイトルの映像をみつける。悠生は、一時の感情で誹謗中傷ともとれるコメントを投稿する。気が紛れた悠生は、再び執筆にいそしみ、遂に待ちわびた映画祭の日を迎える。しかし、悠生は映画祭会場である事実を知ることとなる。